管理職

危機管理(BCP)を、緊急事態の今こそ見直そう

マネージャー育成コンサルタントの江田泰高です。

BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Plan)の頭文字を取った言葉です。

テロや災害、システム障害、不祥事などといった危機的状況下に置かれた場合でも、企業が重要な業務を継続できるように方策を用意し、生き延びることができるようにしておくための戦略を指します。

外資系企業を中心に導入が進められていて、日本でも東日本大震災以降に導入する企業が増えました。

危機管理(BCP)ができていないと、どうなる?

例えば、今は全世界がインターネットでつながっている時代です。

大企業の場合、顧客情報・販売管理・経理処理に至るまですべての情報がITを活用して行われています。

ですが、もしサイバー攻撃を受けたら? インターネットが使えない状況になったとしたら?

損害額は、日に数億円を超えることもあるでしょう。

他社のシステムにも影響を及ぼしている可能性も考えられます。

完全に安全が確認できるまでは、再始動するわけにもいきません。

場合によっては、復旧まで数か月かかるでしょう。

売上に大きな打撃を与えるだけでなく、最悪の場合、債務不履行による裁判もありえますし、企業の財務状況によっては倒産もあり得ます。

特に大企業と取引をしている中小企業は、大企業がサイバー攻撃を受けて営業停止した余波で倒産してしまうケースも考えられるのです。

危機管理(BCP)を普段からおこなうことで、生き残れる

つまり、自然災害や新型コロナウイルスの流行だけではないのです。

しかも、今回の新型コロナウイルス流行は、東日本大震災のような物流網が寸断され、物流拠点の分散や災害時の危機管理が経営課題となった時とはまた違います。

様々な要因を想定したBCPの必要性が高まっているのです。

会社としては危機管理(BCP)をおこなうことは、エネルギーも時間も必要ですから、どうしても手を出しにくいもの。

ただ、普段から対策を検討している会社は、今回のような緊急事態でも強く、しっかりと生き残れます。

常日頃から様々な障害が起きることを想定しておくようにしましょう。

管理職として想定しておくべき、危機管理(BCP)

危機管理(BCP)は、会社単位にとどまりません。

管理職は、会社としての考え方から、もう少し視野を狭めて部署単位でのBCPについて考えておきましょう。

今回の、新型コロナウイルスの流行で考えていくと

  1. 主軸となるメンバーがコロナウイルスに感染して戦線離脱することになったら?
  2. もし他のメンバーも感染したらどうする?
  3. もし管理職が抜けたら?
  4. 社内外へのコミュニケーションをどのようにするか?

などです。

他にも、値上げされたら?潰れたら?転職・異動・ケガがあったら?など、考えられる限りの要因で危機管理を考えておきましょう。

管理職は、常にバックアップ体制を考えておくこと

今のように、緊急事態になってから考えるような、受け身ではいけません。

今回もここまで感染拡大すると考えていた人はほぼいないでしょう。ですが、世界を巻き込んだ巨大な緊急事態となっています。つまり、なにが起こるか予想できません。

そういったときのことを考え、常にバックアップ体制を考えておくのが、管理職の責務です。

どういった影響があるのかをしっかりと理解しておき、その時にどんな選択肢があるのかも知っておくようにしましょう。

緊急事態を想定して、後継者育成もしておこう

また、後継者育成も大切です。

転職が一般的な外資系企業では、管理職の大事な仕事のひとつが後継者育成です。

これは、危機管理(BCP)の観点からみても重要。

ステップアップ、昇進のチャンスを掴めるときに掴まないと、いつ回ってくるかわかりません。そのタイミングで、後継者が育っていないと、安心して部署を去ることができません。

そのためにも、常に後継者育成をしておき、自身がいなくても業務が回るようなバックアップ体制を構築しておきましょう。

新型コロナウイルスを今までとは違った形の「災害」として捉え、この機会に企業の危機管理の在り方について再度考えていってください。

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Yasutaka Eda
『正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本』の著者、アトワジャパン株式会社 取締役。元戦略コンサルタント、外資系メーカーでの部長職を歴任。人材育成のプロフェッショナル。