【連載】自分を高く売る

後継者を効果的に売り込むには?

マネージャー育成コンサルタントの江田泰高です。

後継者は育成したらいいだけではありません。

育成者は、部下やチームメンバーをどのように売り込むことができるかも考えていく必要があります。

手順は「自分の売り込み」と同様です。以前の記事を参考にしてください。

唯一異なる点としては、売り込む対象が自分ではないことです。

メンバーと共通認識をきちんと持つこと

キャリアの方向性や個人のブランディングについて、あらかじめ部下やチームメンバーにアドバイスを与えた上で共通の認識を持つ必要があります。

キャリアの方向性を元に差別化できる要素、アピールしたい内容を見極めた上で、身に付けるべきスキルや強化すべきスキルを明確にする手伝いをしていくのが理想です。

仮にあなたが部下に「マーケティングの素質がある」と思いマーケティング部に積極的に売り込みを行ない異動が決まったとしても、部下が実はマーケティングに興味がないのであれば不幸な異動になってしまいます。

たとえ、良かれと思って売り込んだとしても、本人からすれば迷惑かもしれないということを念頭に入れておく必要があること忘れないでください。

あなたが見定める適性は、部下のキャリアにとって有意義なものである可能性は十分にあります。

そのため、個人的な見解を含めて部下に伝えた上で、本人の意思を尊重した形で売り込みを行なうようにしましょう。

「投資」と考えて、時間を作ること

「売り込み」は、一種の社内営業です。

アピールの資料や実績の準備をするためには、相当の時間を使うことになります。

部下の売り込みの場合、上司と部下の両方がある程度の時間を通常業務に加えて投資することが大切です。

たとえば、あなたの部下にチームの成果を代表として発表させる、または、改善活動をリードさせるなどの役割を与えます。

部下が不慣れの場合、上司のあなたが一人で対応するのと比べて多くの時間がかかりますが、育成のためと割り切って考える必要があるのです。

期待していることを、しっかりと伝えること

何となく担当させるだけでは良い成果を出すことはできません。

そこで、上司としてハッキリとメンバーに言いましょう。

君のことを信頼している。そして頼りにしている。君が社内で更に評価されるようにアピールをしたい。

ただ一方で、資料作成や報告など追加の仕事が増えることになる。大変ではあるが、君のことを社内に知ってもらうチャンスなので、受けてほしいと思うが無理強いはしたくない。

やるか? やらないか? もしやると決めたら、全力でやり切ってくれ。こちらも全力でサポートする

期待を口にすることは、モチベーションに繋がります。

「後継者として考えている」と本人に伝えるのもよいかもしれません。

せっかく、労力を使って売り込みを行なうのであれば、メンバーのモチベーションが上がる形で行ないましょう。

そうすることで、予想よりも早く目に見える成果が生まれるはずです。

 

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Yasutaka Eda
『正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本』の著者、アトワジャパン株式会社 取締役。元戦略コンサルタント、外資系メーカーでの部長職を歴任。人材育成のプロフェッショナル。