【連載】自分を高く売る

理想のマネージャー像をイメージすべき理由

マネージャー育成コンサルタントの江田泰高です。

人の上に立つ立場になる時、考えてほしいことがあります。

それは「あなたにとって良いマネージャーとはどのようなマネージャーか」です。

優秀なプレーヤーが、優秀なマネージャーになるとは限らない

一般によくある事例として、優秀なプレーヤーが功績を認められてマネージャーに昇格するケースがあります。

しかし、優秀なプレーヤーが必ずしも優秀なマネージャーになれるわけではありません。

それは、プレーヤーとマネージャーで期待されることが異なるからです。

プレーヤーは「個人として成果を上げる」ことが期待されています。

一方で、マネージャーは「チームとして成果を上げる」ことが期待されているのです。

つまりマネージャーは、チームの監督として各個人が確実に成果を上げられるようにサポートすると同時にチームとしてより大きな成果を生むことを求められています。

マネージャーの質によって、チームの生産性は変わる

スポーツと同様、監督の質によって、チームの生産性は大きく左右されます。

仮にスーパースターをそろえたとしても、戦術や各選手の健康やモチベーションの管理を怠っていては勝てる試合も勝てません。

監督は、選手を休ませてケガのリスクを軽減させることや若手の選手にチャンスを与えることなどで、チームの将来も含めてマネージメントしていくことが求められているのです。

3つのマネージメントスタイル

実際にどんなマネージャーのスタイルがあるのか。

私の実体験も踏まえて、大きく三つのマネージメントスタイルをご紹介します。

1:チーム並列型

マネージャーの役割をチームの取りまとめ役と定義し、民主的に他のメンバーの意見を聞きながら意思決定をしていくスタイルです。

マネージャーに昇格したばかりの方に多いスタイルで、協調性がある一方、素早い判断や強いリーダーシップは期待できません。

そのため、大きな変革がある場合には不向きです。

2:プロジェクトマネージャー型

プロジェクトマネージャーとして、必要なタスクを細分化した後に、チームメンバーに各タスクを担当させるスタイルです。

考える作業と取りまとめをマネージャーが行なうことで、チームメンバーは考えることなく淡々と作業することができます。

そのため、短期間で進める必要のあるプロジェクトなどには非常に有効ですが、メンバーが自ら考えることをやめてしまい、指示待ちになってしまうリスクがあります。

短期間での成果が求められるコンサルタント出身のマネージャーはこのスタイルを取ることが多いです。

3:チーム育成型

マネージャーがすべてを行なうのでなく、チームメンバーの習熟度に合わせて関与の度合いを減らし、可能な限り部下を信頼して任せるやり方です。

部下に細かい指示を与えないことで、考える力やリードする力を身に付けてもらいますが、進捗状況に合わせて必要なら手を差し伸べていきます。

プロジェクトマネージメント型と比べて手間も時間も掛かるスタイルではありますが、中長期的にみると、チームメンバーの能力の向上により物事を進めるスピードは飛躍的に早くなります。

その会社やチームのレベルによって求められる期待値は異なりますから、どのスタイルを選んでも間違いではないのです。

そして、そのチームをどう導くかを最終的に決めるのはマネージャーです。

どのスタイルを選んでも、メンバーの個性を見ることが大切になってきます。

理想のマネージャー像を想像して、スタイルを選ぼう

ですが、いきなりどのスタイルがいいかは分かりにくいもの。

そこで、試していただきたいのが「理想のマネージャーを想像する」ことです。

もし尊敬するマネージャーがいれば、その方をロールモデルとして参考にしてみてください。

もし身近に理想のマネージャー像に近い方がいない場合は、優れている人を真似てみましょう。

自分が身につけたいマネージャーの要素をパッチワークのように組み合わせることで、理想のマネージャー像ができ上がるはずです。

あなたにとっての理想のマネージャーとは何か。

ぜひ、考えてみてください。

 

ABOUT ME
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Yasutaka Eda
『正しく評価してくれないこの会社に限界を感じたとき読む本』の著者、アトワジャパン株式会社 取締役。元戦略コンサルタント、外資系メーカーでの部長職を歴任。人材育成のプロフェッショナル。