マネージャー育成コンサルタントの江田泰高です。
新卒から定年まで働くのが一般的だった時代、多くの企業には非公式な「出世コース」が存在しました。
本社の営業部門や開発部門など売上に大きな影響を持つ部署は、「花形部署」と呼ばれることが多く、優秀な人材が集められ、将来の社長として相応しい教育と実績を積むチャンスが与えられていたのです。
そして社長や部長を多く輩出した部署は、社内での影響力が上がるという形でした。
現在でも長期雇用が前提の企業には、少なからずこのような「出世コース」が残っています。
しかし、現在の「出世コース」は、必ずしも成功を約束するものではなくなってきているのです。
マーケットのトレンドを読んでいく
なぜなら、大手企業も倒産するリスクが十分にある時代になったから。
それだけでなく、マーケットのトレンドによっては、花形部署が入れ替わることもあり得るからです。
例えば、一度は耳にしたことがある「富士フイルム株式会社」。
以前は社名にもあるように、写真フィルム事業が稼ぎ頭でした。
しかしデジタルカメラの普及により、写真フィルム事業は縮小。
マーケットの大きな変化の波を受けて、富士フイルムは試行錯誤をし、フィルム開発の技術を活用した化粧品事業や医薬品事業への参入を決断。
結果、富士フィルムは今でも上場企業として展開していますが、同業のコダックは変化に対応できず2012年に連邦倒産法第11章の適用により上場廃止となっています。
つまり、現代の出世コースに乗るためには、仕事で成果を出すだけなく、少しでも早く昇進するために「マーケットのトレンドや変化を観察し、今後の花形部署・新しい出世コースを探す」ことが大切なのです。
社内での成功例をお手本に
ですが、一から探すのは難しいもの。
そんな時は、既に存在するキャリアパスのお手本を探しましょう。
社内であれば、最年少で抜擢された部長や課長が歩んできたキャリアをリサーチしてみてください。
抜擢されたのには、必ず理由があります。
企業としての「期待値」を読み解き、部長や課長のたどった道を参考にキャリアを構築していけばいいのです。
これは、社外に目を向けても同様です。
外資系企業の日本法人社長を目指すのであれば、既に外資系企業で日本法人の社長についている人を探し出し、どのような経験を歩んでいるのかを知ることで、目指すべき方向性が見えてきます。
コーポレートサイトの社長挨拶やインタビュー記事、ビジネス特化型SNSのリンクトイン(LinkedIn)を見れば、かなり細かく経歴を知ることができるのでお勧めです。
転職活動でも、応募しようとしているポジションに付いていた方やその企業の出身者が、どのようなキャリアを歩んでいるのかを確認しましょう。
そうすることで、あなたが将来的に転職可能な企業やポジションを知ることができます。
話を聞いてみたい方には直接メッセージを送り、キャリアについて聞いてみてもいいかもしれません。
もちろん100%回答を貰えるわけではありませんが、 場合によっては貴重な話を聞ける可能性があります。
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形は違えど、あなたが目指すキャリアを先に体現している人はいるはずです。
彼らの経歴を参考にすれば、理想のキャリアの実現率はぐっと上がります。
ぜひ一度リサーチしてみてください。